「体言止め」は表現技法の一つです。文末に体言止めを使用することによって文末表現のバリエーションを増やし、余韻を感じさせたり、リズムを持たせる効果があります。
「体言止め」の使用ポイントとは?
体言止めとは語尾を名詞や代名詞などの体言で止める技法の事を指します。通常の文章の中だけではなく、和歌や俳句でも使われている表現技法です。
例文:
わたしは友人と映画に出かけました。
一番印象的だったのは、作中で描かれた美味しそうなパンケーキ。
上映後は、そのままカフェに行き、パンケーキを食べながら感想を語り合いました。
体言止めは文章を名詞で結ぶため、リズムが変化します。そしてその後の文章への注意を惹きつけることができる技法です。
体言止めはある場所に限って使用することで、効果を得ることができます。体言止めの使用頻度は書く人によって異なりますが、体言止めの効果を知っておけば、どこで使用するのが一番効果的なのかがわかります。
さっそく、以下で詳しい体言止めのメリットをみていきましょう。
メリット①. 文章が短くシンプルになることで読みやすくなる
句点が多い長い文章は相手にとって分かりづらく読みにくい印象を与えてしまうもの。ですが、体言止めを使うことで文章を短くすることができ、シンプルで読みやすい文章を作ることができます。
まずは体言止めを使わない文を読んでみましょう。
例文1:
わたしは友人と映画に出かけました。一番印象的だったのは、作中で描かれた美味しそうなパンケーキ。上映後は、そのままカフェに行き、パンケーキを食べながら感想を語り合いました。
これを、体言止めを含めた文章に書き変えてみると以下のようになります。
例文2:
わたしは友人と映画に出かけました。
一番印象的だったのは、作中で描かれた美味しそうなパンケーキ。
上映後は、そのままカフェに行き、パンケーキを食べながら感想を語り合いました。
このように短い3つの文章に分けることができます。2つの文は「~ました。」という文末になっていますが、途中に体言止めを入れることによって、抑揚のある分かりやすい文章に変わっています。
メリット③ 単調でなくリズム感のある文章にすることができる
体言止めを使うことによる効果は、リズム感のある文章にすることができる、というものです。
同じ語尾を繰り返していると、文章は暗く面白みのないものになります。まずは以下の文をみてみましょう。
例文1:
わたしは友人と映画に出かけました。
作中で描かれた美味しそうなパンケーキに惹かれました。
上映後はパンケーキを食べながら感想を語り合いました。
この文章では、文末がすべて「~ました。」になっており、これでは読者が違和感を覚えてしまいます。単調な文章ですので、パンケーキがどれほど美味しかったのか、十分に伝わってきません。
では、体言止めを活用するとどんな文章に変わるのでしょうか。
わたしは友人と映画に出かけました。
そこで一番印象的だったのは、作中で描かれた美味しそうなパンケーキ。
上映後は、フワフワ生地に蜂蜜が有名なカフェに直行!ペロリと平らげました。
体言止めを入れたことによって、リズム感のある文章になっています。体言止めは、文章の流れをいったんストップさせることで、読み手を疲れさせず、最後まで文章を読むようにさせてくれる効果を持っているのです。
メリット③ 読者の注意を引きつけ読み進めたくなる文章になる
体言止めによる3つ目の効果は読者の注意を惹きつける、ということです。体言止めを使うことで、効果1のように文章を短くし、効果2のようにリズム感を与えることで、読者がどんどん読み進めたくなる文章を書くことができます。
体言止めを使わない場合、このような文章だったとします。
例文1:
美味しそうなパンケーキには小麦粉とバターは欠かせない材料です。
原産地にこだわって小麦粉とバターを仕入れています。
この文章も、体言止めを使えば以下のようにすることができます。
例文2:
美味しそうなパンケーキには欠かせない材料。
それは小麦粉とバターです。
だから原産地にこだわって仕入れをしています。
体言止めを使うと文章のつくりがひっくり返ったり、文が増えたりすることもあるでしょう。このように、文章を体言で締めくくることによって、次の文章への注意が引きつけられます。適度に体言止めを使用すれば、相手の注意を記事の最後まで引きつけることができるでしょう。
注意点:使いすぎると逆効果!?
体言止めを使うときには注意するべき点もあります。
体言止めは使いすぎると逆効果になる、ということです。使いすぎると軽い文章になり、意味が曖昧になってしまいます。以下の例文をみてみましょう。
例文:
バスに乗ったのは朝七時。
バスに乗り、ついたのは札幌駅。
目の前に広がったのはテレビで見たことのある時計台。
「いったい何を伝えたいの?」と感じられたのではないでしょうか。
体言止めはどんな文章にも使えるものではありません。なにかを強調したい時や文末のバリエーションを増やしたい時に使用すれば効果を得ることができます。
先ほどの例文の体言止めを1つに絞ってみましょう。
例文2:
朝七時にバスに乗りました。
ついたのは札幌駅。
テレビで見たことのある時計台が目の前に広がっていました。
このように体言止めを使えば、「札幌駅」が強調され、何を伝えたいのかがはっきりします。また、適度なリズム感が生まれ、読みやすい文章となるでしょう。
まとめ
体言止めの使い過ぎは相手の注意を散漫させ、意味が伝わりにくくなってしまいます。
しかし体言止めが正しく使われていれば、文章にリズムを与え、相手の注意を惹きつけてくれる効果があります。体言止めは、全体的なバランスを考えて、何度も読み返して違和感がないか確かめて活用してください。
文章の上手い人は「リズム」がしっかりできています。体言止めを意識的に活用することで、相手が快適にテンポよく読める文章となるようにテクニックとしてぜひ使ってみてください^^
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