株式会社ブランド総合研究所が、住民による幸福度、生活満足度、満足度、定住意欲度など、地域の持続性を調べるために、「第2回地域版SDGs調査2020・都道府県版」を発表しました。
この調査はインターネットを利用して2020年6月12日から29日まで実施し、全国の都道府県から約340人ずつ、計15,991人からの回答を得て実施しました。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、これまでのように自由には外出できない、常に周囲とソーシャルディスタンスを保つなど、私たちは新しい生活様式に合わせて暮らさなければならなくなりました。
今回は、そんなコロナ禍で人々の幸福度はどう変わったのか、各都道府県の住民へのアンケートによって「幸福度」から調べてみました。
調査方法について
アンケートはインターネットにて実施し、1万6000人から回答を得ており(各都道府県から約350人)、調査期間は2020年6月12日~29日です。
住民に対し「あなたは幸せですか」という問いを投げかけ、「とても幸せ」「少し幸せ」「どちらでもない」「あまり幸せではない」「全く幸せではない」の5段階から1つを選択。
回答はそれぞれ100点、75点、50点、25点、0点として全回答の平均を「幸福度」としています。昨年度の調査結果(順位)は、性別や世代などの属性で新たにウェイトバック集計を行ったため、昨年度発表の順位と異なっています。
気になるランキングは?
「都道府県『幸福度』ランキング」1位は、昨年に引き続き宮崎県となりました。
昨年は「とても幸せ」と答えた人が32.1%だったが、今年は36.1%と4ポイントもアップ。また、幸福度の全国平均は昨年の66.6点から66.1点へとダウンしたのに対し、宮崎県は72.7点から74.0点へとアップしています。
幸福度2位は昨年5位の沖縄県(72.2点)です。昨年5位からの大幅上昇。34.1%が「とても幸せ」、34.8%が「少し幸せ」と答えています。
そして3位は大分県(70.3点)で昨年の18位から大きく順位を上げています。
一方で、下位に目を移すと、東北各県が多くランクインしています。
まず、39位に宮城県(63.7点)、40位に山形県(63.6点)、44位青森県(61.8点)、45位福島県(61.4点)、47位秋田県(61.1点)となり、東北のなかでも、前年からもっとも幸福度の伸びが大きかったのは岩手県で、61.2点から66.0点へと4.8点の伸び。順位も46位から24位へと急上昇しました。
1位 宮崎県の特徴とは?
今回1位になった宮崎県で特徴的なのは、『都道府県SDGs調査2020』で幸福度の調査と一緒に行っている「満足度」や「定住意欲度」の順位がそれほど高くない点です。愛着度は10位と上位であるものの、満足度は23位、定住意欲度は28位にとどまっています。
これに対して調査を行ったブランド総合研究所の田中章雄社長は「宮崎県では、幸福度や愛着度といった感覚的なものへの評価は高い一方で、満足度や定住意欲度のような実体を伴うものへの評価は高くないようだ」とコメントしています。
実際、個人が悩みとして「低収入・低賃金」を選んだ人が多い都道府県では7位(41.5%)、「貯蓄・投資」は4位(28.7%)、「借金・ローン」(19.7%)ではなんと1位になるなど、経済や金銭面での悩みを抱えている人が多いことが挙げられます。
その一方で悩んでいる人が少なかったのが、人間関係に関する項目です。例えば、個人の悩みとして「不登校・ひきこもり」を選んだ都道府県では42位(0.7%)、「家庭内暴力・DV・虐待・非行」は42位(0.2%)、「孤独」は44位(1.7%)、「パワハラ」47位(1.6%)と、いずれも悩んでいる人は少なかったようです。
「宮崎県民ももちろんさまざまな悩みを抱えているし、満足できないこともある。しかし、夫婦や親子関係、学校や職場の人間関係など、人と人とのつながりがマイナス面を十分にカバーしてくれており、それが幸福度につながっているのではないか」(田中社長)
幸福度2位に上昇の沖縄県。その理由は?
沖縄県の幸福度は昨年69.4点から72.2点へと上昇し、順位も5位から2位へと上がり増田。アンケートでは「とても幸せ」と答えた人が昨年の28.9%から34.1%へと5ポイント以上も上昇しています。
新型コロナウイルスの外出自粛によって、国内外からの観光客が激減してしまったことが大きな影響を与えているにもかかわらず、幸福度はアップしているのはなぜなのでしょうか?
沖縄県は観光業を含む第3次産業の割合が84.2%と、全国平均の72.7%(沖縄県統計資料<平成30年>)を大きく上回っており、「低収入・低賃金」に悩む人の割合は昨年の38.9%から48.3%へと大きく増え、全国1位になるなど、やはり新型コロナによる経済的な打撃は否めません。
その一方で、悩んでいる人の割合が激減したのが「渋滞・混雑」だ。昨年は「渋滞・混雑」に悩んでいる人の割合が12.3%と全国1位だったのに対し、今年は悩んでいる人の割合は8.3%へと減少。まだまだ全国的に見れば3位と上位ではあるものの、4ポイントのダウンは非常に大きいことが挙げられます。
「沖縄県も宮崎県と同様に、経済的・金銭的な悩みは昨年以上に深刻化しているのは事実だ。しかし、それよりも日常生活の大きなストレスだった渋滞や混雑などの要素がなくなったことが、意外にも沖縄県民の幸福度に貢献しているのではないだろうか」(田中社長)
年代別では60代と20代の幸福度が高い
年代別では、60代以上の28.4%が「とても幸せ」、45.1%が「少し幸せ」で、「幸せである」と答えた人(合計73.5%)が最も多く、次に「幸せである」が多かったのは20代で、59.0%。最も幸福度が低いのは、40代でした。この傾向は前年と大きな変化はなかった。
男女別では、「とても幸せ」と答えた人は男性では21.6%に対して女性では27.4%と女性の方が多いが、前年は男性が21.1%、女性が30.2%と女性の方が前年より減少しています。
まとめ
確かに日本は先進国中で最も労働時間が長いと言われており、有給や育休の取得率も低く、労働環境に対する満足度は低いかもしれません。また依然として偏差値重視の教育が続き、高学歴者に有利な環境であることに変わりはありません。
結果として、国内で比較しても経済力だけでなく日常的にゆとりを感じながら、充実した生活や娯楽を満喫する余裕も大切であることが読み取れます。
本質的には、幸福度の価値観は比較するものではありません。あくまで幸福度ランキングの順位は、参考程度に考えて、自分自身の生き方における価値観を取捨選択し、主体的な満足度を高めていきたいものです^^
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