今では誰でも、かんたんにはじめられるようになったネットショップですが、ネットショップにおいて「商品の梱包」は、お客様に商品を破損なく届けるために欠かせない部分です。
そしてネットショップの運営を始めようとしている人にとって「どんな梱包をすればいいか分からない」「何を用意すればいいか分からない」という人も多いのではないでしょうか?
また「送料をどのように設定するか」という点も留意しないと、利益を上げることは正直難しいのが現状です。
今回はネットショップを開設しようと考えている初心者の方に梱包や送料などの「ロジスティクスの基本」に関してご紹介します。
これだけは抑えておきたい梱包資材について確認しよう
商品を梱包するために様々な梱包資材が販売されていますが、必ずしもそうした資材をたくさん使う必要はありません。
商品の梱包に必要な最も標準的な資材は、以下の3つで十分なんです。
- 段ボール
- 緩衝材
- テープ
それぞれ少し詳しく解説していきます。
段ボール
商品を最終的に入れることになる「外装」には宅配袋やクッション袋など様々な種類のものがあります。
しかし、これからネットショップを始める方は最もよく使われる段ボールがあれば十分です。サイズこそ気にする必要がありますが、強度・使い勝手は全く問題ありません。
段ボールには強度によって規格が定められていますが、基本的には「ライナーK5」「フルートA もしくは B」と表記されているものを選べばOKです。
緩衝材
段ボールに直接商品を入れただけでは、輸送中の衝撃によって商品が破損する可能性があります。商品の中身にもよりますがほぼ必要となります。
商品の破損はお客様にご迷惑をおかけするだけでなく、損失につながってしまいます。そのため、商品を送る際には緩衝材も必要不可欠です。
基本的には
- エアクッション
- プチプチ
の2つを用意しておけば問題ありません。商品をプチプチでくるみ、段ボールとの隙間をエアクッションで埋めてあげればOKです。
テープ
緩衝材を商品に固定したり、外装をとめる時に使用するのがテープ類。段ボールを箱型に成形する時にも必要なので、上記2つと合わせて必ず持っておきたい資材です。
クラフトテープ・紙テープなど色々ありますが、まずはOPPテープと呼ばれるテープを持っておけばOK。耐久性・耐湿性に優れているほか、透明で汎用性も高いのが特徴的です。
基本的な梱包手順を確認しよう
ここまで最低限必要な梱包資材について紹介してきましたが、「じゃあ実際にどうやって梱包すればいいの?」と考えている方も多いと思います。
そこでここから、上記で紹介した資材を使った最も基本的な梱包手順について紹介していきます。これさえ理解すれば梱包の基礎はマスターしたも同然です。
ステップ1: 梱包資材を用意しよう
ここまで紹介した内容をもとに梱包資材を用意します。最低限用意したい梱包資材は
- 段ボール
- 緩衝材
- テープ
の3つでした。緩衝材はエアクッションとプチプチの2種類を用意しておくとベターです。
ステップ2: 緩衝材で商品を包もう
商品の種類やサイズに合わせて緩衝材を用意し商品を包んでいきます。あとになって「傷があったかも…」と梱包しなおしたり、破損によるトラブルを防ぐためにも、商品は事前に確認するのが大切です。
また、ガラスなどの割れ物商品は多めの緩衝材でしっかり包んでおきましょう。
ステップ3: 商品を外袋に詰めよう
緩衝材に包まれた商品を段ボールに詰めていきます。
商品と近いサイズの段ボールを選んでしまうと衝撃が直接伝わってしまうので、ある程度余裕を持ったサイズの段ボールを使いましょう。出来てしまった隙間はエアクッションで上手に埋めればOKです。
主な送料設定パターン
ネットショップの送料パターンといってもその種類はさまざま。各ネットショップの規模や、ネットショップの運営に使っているサービスによっても変わってくるんです。
今回はその中でも代表的なもの5つを紹介していきます。
全国一律の料金
送料設定パターンで一番多く見かけるのが全国どこでも一律の送料がかかるパターン。
よくネットショップをチェックしていると「送料は全国一律600円です」といった表記を見かけることも多いのではないでしょうか?
この全国一律料金のメリットは「とにかく分かりやすい」という点。遠方か近辺かを機にする事がないので、オーナー様にとってもお客様にとっても迷う事が少ないです。
この送料パターンを設定する場合、送料はお客様の居住地によって送り先からの送料が変わってくるので、全体的に見て大きな損がないように送料を設定する必要があります。
基本的には、以下のように設定すると配送料がマイナスになってしまう事態は避けられますよ。
配送料の全国平均 + 資材費 + 人件費 < 購入者に請求する送料
(各種経費に加えてマージンを追加して送料として設定する)
一定額以上で送料無料
前項の「全国一律料金」に次いでよく見かけるのが「5000円以上で送料無料」といったように、一定額の購入をする事で送料が無料となるパターン。
この送料パターンを設定している場合、一定額に達していないお客様であっても送料無料の条件を満たすために「ついで買い」をしてくださるケースが発生しやすくなります。
お客様あたりの購入単価が増える要因にもなるので、導入しているストアが多いのが特徴です。
配送先別の送料設定
東京で運営・発送を行っているネットショップの場合
- 首都圏: 無料
- 本州: 500円
- 九州・四国: 700円
- 沖縄・北海道: 900円
- その他離島: 要相談
といったように、配送先の距離に応じた送料の設定を行っているところも多く存在します。距離に応じて無駄のない送料を設定できるので、理にかなっている送料の設定方法といえます。
これも以下のように送料を設定することで、大幅なマイナスは避けられます。
エリア別配送料 + 資材費 + 人件費 < 購入者に請求する送料
(各種経費に加えてマージンを追加して送料として設定する)
しかしこの場合、沖縄や北海道など遠方のお客様は送料が高額になってしまうのが難点。遠方のお客様からの注文を十分に確保したいといった場合、この方法を設定するのは難しいかもしれません。
こうした場合、ショップで送料の一部を負担することによってお客様が支払う送料の額を抑えることが可能です。負担する送料については、以下の計算式に当てはめると簡単に割り出すことができますよ。
(配送料+資材費+人件費)-購入者に請求する送料×(1-◯%)= ショップ側で負担する送料
発送手段別の送料
発送する手段によって送料を設定しているケースもあります。この場合
- ゆうパック: 900円
- メール便: 300円
といったように、あらかじめ決めておいた送料が使用出来るので無駄がないのが特徴です。
ただしポストに投函されるメール便などを使用する場合が発生するので、商品ページにその旨を記載しておくといいでしょう。
送料は完全無料
最後に紹介するのが「全国どこでも送料無料」というパターンです。
最初に紹介した「全国一律料金」の場合と同様、お客様にとって分かりやすい設定方法なのが特徴。
また、商品代金以外のお金を支払う必要が無いので、多くのお客様に喜んでいただけます。
送料の決め方・考え方
主な送料パターンを紹介したところで、次は送料の決め方や、送料についての考え方について見ていきましょう。
お客様は送料に対してシビア
商品を購入することお客様は、当然「出来る限り商品は安く購入したい」と考えています。そのため、送料に関しては非常にシビアになります。
例えば
商品 | 代金 | 送料 | 合計 |
---|---|---|---|
A | 1500円 | 800円 | 2300円 |
B | 1900円 | 400円 | 2300円 |
という2つの商品がある場合、多くのお客様はBの商品を購入していきます。それほど「送料は安くしたい!」と考えている人が多いんです。
これを踏まえて、次からいくつか決め方を紹介していきます。
利益率が高い商品を販売している場合
販売している商品の利益率が高い場合、基本的には先ほど紹介したどの送料パターンを採用しても問題ありません。
しかしお客様の満足度を考慮すると、ここはやはり送料を無料にして多くのお客様に利用していただくのがいいかもしれません。
「一定金額以上で送料無料」が主流
とはいえ、利益率の高い商品を販売しているストアはやはり多くありません。
「送料は無料にしたいけど、売り上げは減らしたくない」とSTORES.jpでストアを運営しているオーナー様が多く設定しているのが「一定金額以上で送料無料」というパターン。
この送料パターンを設定しているストアの多くが「送料は全国一律で700円、ただし5000円以上の購入で無料」のように、先ほどご紹介したパターンを複数組み合わせています。
先ほど紹介したように、この送料パターンはお客様の「ついで買い」を誘発して1回あたりの注文金額をあげる効果があるのが特徴。
送料を無料にするボーダーの金額を決めるときには、オーナー様の運営するショップの1回注文あたりの平均金額から少し上を設定するのがおすすめです。
商品代金に送料を上乗せする
配送業者を使用して商品の発送を行う場合、送料は配送業社の設定している金額に依存します。したがって基本的には「発送先から遠いほど配送料金が高い」ということになります。
しかし先ほど『配送先別の送料設定』のパートでも紹介したように、地域別の送料設定は遠方のお客様からの注文が減ってしまいかねないのが欠点。
そこでよく使用されているのが「商品代金に送料の一部を上乗せし、送料は一律にする」という方法。
送料が900円かかってしまう場合、その内の200円を商品代金に含めさせてもらい(3000円の商品を3200円とする)送料として一律700円を設定する、といったものです。
【注意】
ご紹介しているこの方法を使うと、商品代金に送料を全額上乗せし、見かけ上「送料無料」として販売してしまうことも可能になります。
しかしこの方法はお客様を騙す表示として「景品表示法」に抵触してしまう可能性があります。
仮に送料を上乗せする場合にはあくまで「一部」を上乗せするに留めましょう。
送料の平均や相場はいくらなの?
ここまでは個人が運営するネットショップに焦点を絞って紹介してきましたが、大手ECサイトはどのように設定しているのでしょうか?
ここでは、大手ECサイトの価格帯から、小規模でオリジナル商品を展開されている通販サイトの相場をご紹介していきます。
大手ECサイトの場合
まずは大手ECサイトの送料設定を確認していきましょう。表は横スクロールに対応しています。
サイト名 | 送料 |
---|---|
Amazon | 合計代金が2000円(税込)以上の場合は送料無料2000円未満の場合は410円(北海道・九州・沖縄・離島は450円)※1Amazonプライム会員は無料 |
楽天 | 各店舗によって異なる |
ZOZOTOWN | 送料は一律210円(税込)即日配送の場合は一律560円(税込) |
ショップリスト | 1注文につき宅急便送料400円(税抜・沖縄および離島は異なる)現在はキャンペーン中で送料は110円(税込)※2 |
ロハコ | 合計代金が3300円(税込)以上の場合は送料無料3300円未満の場合は220円(税込) ※3 |
ベルメゾン | 合計代金が5000円(税込)以上の場合は送料無料5000円(税込)未満の場合は490円(税込) ※4 |
ヤマダウェブコム | 合計代金が3300円(税抜)以上の場合は送料無料3300円(税抜)未満の場合は550円(税抜) |
ヨドバシドットコム | 送料無料 |
※1 お急ぎ便を利用した場合、本州・四国(離島を除く)は510円、北海道・九州は550円。当日お急ぎ便に対する手数料など詳しくは公式サイトを確認してください。
※注文金額が3300円(税込)未満の場合は低額販売手数料500円がかかります。
※3 その他「Happy On Time配送」や家具等の配送に対する特別手数料の設定あり。詳しくは公式サイトを確認してください。
※4 別途商品によっては特別配送料の設定があります。
※ 2019/10/03時点の情報です。
こうしてみると大手ECサイトはシンプルに全国一律に送料を設定している場合が多く、特に「xx円以上で送料無料、それ以下は全国一律xx円」という設定がよく見られます。
小規模ECサイトの場合
小規模ECサイトの場合は以下のような設定が多く見られます。
販売商品の系統 | 主な送料 |
---|---|
ハンドメイドアクセサリー系 | 定形外郵便→120円〜150円宅配便→700円〜1500円5000円以上で送料無料 |
Tシャツ系 | 定形外郵便: 300円〜500円宅配便: 800円〜1500円10000円以上で送料無料 |
小規模サイトの場合は配送方法を複数設定しつつ、一定金額以上のお買い物で送料無料というケースが多いですね。
自分のショップで送料を決めるときは、小規模ECサイトを複数調査して、各サイトがどのように送料の設定を行っているかをチェックしてみるのもおすすめです。
送料を安く抑えるコツって?
ここまで送料の主な設定パターンや、他のECサイトの送料についてまとめてきました。
ここからは具体的に「送料を決めよう」という段階になった時に、どのようにすれば送料が安く抑えられるかを紹介していきます。
大きさによって配送方法を変更する
最初に紹介したいのが大きさによって配送方法を変更するというもの。
宅配便と比較して、メール便などのポスト投函タイプの発送方法は費用を抑えて配送ができるのが特徴です。
わかりやすいメリットが多いメール便
メール便を使うメリットとしては
- 配送料金が安い
- 全国一律料金でわかりやすい
- お客様が不在でも配送できる
が挙げられます。
たとえば日本郵便が提供している「ゆうパック」を都内間で使用したい場合、もっとも小さい60サイズで810円かかります。
しかし同じ日本郵便が提供している「スマートレター」を使用することで、配送料は180円へと削減することができます。
さらに「スマートレター」は全国一律で180円という価格設定になっているので、商品が小さい場合はこちらを活用する方がお得になってくるんです。
一方、メール便を使用することで生じるデメリットとしては
- 宅急便と比較して配送に日数がかかる
- 配送できる商品の大きさに限りがある
- 追跡サービスがない場合が多い
- 破損・紛失の保証がない場合が多い
があげられます。
特にお客様によっては「商品がどこにあるのかを随時確認したい」という方もいらっしゃいます。そのため、メール便などを配送に使用する場合はあらかじめ追跡サービス・補償の有無を確認する必要があるといえます。
配送会社ごとに同一の条件で見積もりを取ってみる
配送会社ごとに同一条件を使用して見積もりを取るのも有効な方法です。
例えば
- 都内から都内で配送を行いたい
- 一番小さいサイズで商品を送りたい
場合、配送大手3社の料金はこのように違ってきます。
配送会社 | 配送方法 | サイズ | 送料 |
---|---|---|---|
日本郵政 | ゆうパック | 60サイズ | 810円 |
クロネコヤマト | 宅急便 | 60サイズ | 930円 |
佐川急便 | 飛脚宅配便 | 60サイズ | 770円 |
※1 2019/10/03現在の情報です。
ただしこの金額はあくまでも基本料金で、ここに各種割引が行われたり追加料金が加わる場合もあります。
そのため配送業者を決定するときは、オーナー様が一番よく利用しそうなサイズや、一番配送しそうな配送先を考慮することが重要です。
法人契約の適用や数量割引の交渉をする
ほとんどの配送会社は法人に対する特別価格や、法人でしか利用出来ないような配送方法を用意しています。また最近では「法人」の定義を個人事業主にまで拡大している配送会社も多く見受けられます。
さらに法人契約の場合、毎月の発送料によっては割引価格を適用してくれる場合もあります。その為、多くの商品を配送している場合、ぜひ各配送業者に問い合わせしてみることをおすすめします。
まとめ
今回の記事ではネットショップの運営に欠かせない梱包や送料などのロジスティクスの基本についてご紹介しました。
お客様にとっては送料が安いほうが当然嬉しいですが、送料の安さを追及した結果、商品の状態が悪かったり商品が破損してしまったなんてことがあるとトラブルの元になりかねません。
さらに商品の破損はトラブルになるだけでなく、お客様からいい印象を持ってもらえなくなってしまうなど、ショップの運営に影響してしまう可能性にもつながります。
そのため、まずは送料の予算の範囲でお客様に確実に届く配送方法を選択しましょう。その上でパッケージを変える、梱包方法を変えるなど、様々なの工夫を行っていくことが重要です。
これ以外にもデジタル化が加速する中で、使いこなす人材育成は必要不可欠です。ご不明な点はフォリビー までお気軽にお問い合わせください。
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